おもしろうて やがて悲しき 地蔵盆

 いつのまにかハローウィンが新たな暦日としてカレンダーに記載され、行事が僻村にまで浸透してきましたが、私の故郷では、内容の一部が似ている「地蔵盆」というお祭りが8月24日に行われます。

 この日は朝早くから町内の地蔵さんに祭壇を設け、その前にゴザを敷き、上に日除けが取り付けられると、その下で子供たちは、「双六」や「ハンカチ落し」をして遊びます。おやつの時間になると「世話役の人」から御菓子やスイカをもらい、夜は大人も交じって花火や盆踊りをします。

 また、別の町の地蔵さんを訪ねると、そこの「世話役の人」が必ず御菓子をくれるので、大黒さんの背負っているような大きな袋を持って遠い町まで遠征し、袋一杯の御菓子をもらって帰ってくる子供もいました。

 私が小学生の頃(昭和30年代終わり~40年代初め)は、みんなが毎日御菓子が食べられるような時代ではなかったので、「地蔵盆」は子供達にとって最高に楽しいお祭りでした。

 しかし、この夏休み最後の大イベントが終わると、「日中の日差しがなんとなく弱まり」「高い空にうろこ雲が現れ」「虫の音も高まってきて」急に秋の気配を感じるようになります。

 多くの子供達は、残りの6日間で「溜まっている宿題」を必死に片付けると、「夏休みが終わってしまった悲しみ」を噛みしめながら始業式のために登校してゆくのです。