2016年10月

 日々の出来事や写真、過去の小文、その他諸々を取り上げます。
 表題はホームページのタイトル候補だったのですが、咽(喉の上の方)、喉(喉の下、首のあたり)ということで落選しました。しかし因業に音が同じなので、わがままでかたくなな性格の自身にふさわしいと思い表題に復活させました。

6.「一身上の理由により・・・」

投稿日:

 小生は3回転職したこともあり、「退職願」は3回提出しました。初めの時は「願」の「形式」を知らなかったので、長々と「退職理由」(職場の不満や要望)を記した「願」を事務局長のところに持ってゆきました。

 しかし、それを一瞥した事務局長は、「形式にそったものに直して再提出するように」と言い、文章の雛形までくれたので、「表題」「一身上の理由により退職いたします」「名前」「日付」だけの味もそっけもないものを再提出しました。その後の退職時は最初から同形式のものを提出したので特に問題はありませんでした。

 さて、近年「クレームは業務の改善・飛躍・新規展開の母」という意識が定着し、「クレーム」を「業務の改善策に反映させる」企業や自治体が増えてきました。

 「退職」も「クレームの一種」であり「ヘッドハンティング」「起業」のために自主的に辞めてゆく人は良いのですが、「パワハラにあった」「派閥争いに負けた」「ミッション失敗の濡れ衣を着せられた」などの理由で、会社に「恨みを持って辞めてゆく人」も結構多く、「円満退社」でも「最後に会社に言いたいことがある」と思う人もいるでしょう。

 もし、「願」にそれらの不満を存分に書くことが出来たら自分自身もすっきりするし、組織にとっても「今後の人事管理における大きな財産」となると思うのですが、皆さんはどう思われますか?(この項終わり)

5.目標管理

投稿日:

   「目標管理」とは「人事管理の一環」として「年度初めに自己目標を設定し、年度末に達成率について自己採点をして提出する制度」です。それに類することは、昭和時代からあったようですが、小生の勤めていた会社で制度化されたのは10年位前ではなかったかと思います。

 この制度は「営業部門」であれば「売り上げ1億円」「新規顧客獲得数50人」など「研究・開発部門」でも「特許申請年間5件」「製品実用化10件」など「実数入りの自己目標」が立てられますが、「事務職」や「現場担当者」の場合は、はっきりした「目標」が立てにくいという欠点があります。

 「事務職」の場合、例えば「事務の簡素化、効率化を推進する」という目標を立てても、大抵の会社では既にかなりの効率化が進んでいて「切り詰める」ところがあまりありません。

 「現場担当者」も「経費は安く、施工期間は短く」という目標は立てられても、実際は天候やトラブルによって工期が延びることが多い上に、小生の会社のように年度途中での「異動」が頻繁に行われるところでは「引継ぎ」や「関係部署への挨拶」など無駄な時間が多くなり「期間」の短縮は夢のまた夢でした。

 それでも「工程が予定通り進捗している現場」に所属している間はいいのですが、そこから「救いようがないほどのひどい状態の現場」に「異動」させられてしまうと「目標管理」など吹っ飛んでしまいます。上記二者では「自己研鑽」(資格取得、セミナー出席)や「礼儀」(日々の挨拶、顧客の接遇)を「自己目標」とするしかありません。

 ところで、小生の会社の「管理シート」には一般的な項目以外に「長期的目標」という別項目が追加されていました。内容は「5年後、10年後の自分はどうなっているかを考えて、長期的な目標を立て、それらを記入せよ」ということです。

 小生は退職年度の初め「管理シート」を持ってきた上司に「年度末で退職すること」を告げました。「退職理由」や「退職後」のことを聞かれた後、「シート」の記入の話になると「今回も一般項目と長期的目標の記入をするように」と言います。「今年度でやめるのに長期的目標もないでしょう」と小生はあきれて拒否しました。

 ところが、その時の上司の言葉は、

 「当社では、年度末に自己都合退職する場合、退職年の2月頃に退職願を書いてもらう慣例がある。今、君がいくら上司に退職を告げてもそれは正式なものではない。退職願を出して決裁が下りるまでは、君は次年度以降も当社に在籍するとみなされている。当然、長期的目標は書いてもらうことになる」

 ・・・・・・・・・・

 皆さん。どう考えても変な会社だと思いませんか?

4.人事考課

投稿日:

 「人事考課」とは「管理職が部下の業務に対する貢献度,職務遂行度を一定の方式に従って評価すること。職員の勤務成績を評価査定すること」の意味で、大体年度末に実施されます。

 小生が体験した「人事考課」には「土台がエクセルの専用シート」が用いられ、評価項目は「礼儀」「責任感」「適応力」など20程度。それらの各々が「具体的事例」(仕事中は常に笑顔で同僚には親切だった等)に細分されています。

 「具体的事例」の「点数欄」に「5段階評価」(10段階の場合もあります)の点数を入力し、最後まで埋めると「総合計点」と「100点換算の点数」が当該欄に表示されます。

 初めて「所長」になり「人事考課」を実施した時、部下の数は僅かで、何の先入観も持たず自分の思うままに点数を付け、短期間で記入が終わった「シート」を上司に送ると「やり直し」という付箋がつけられて戻ってきました。

 「点数に基準があるんじゃないかな?」と思い、別の課の「管理職」に聞いてみると「100点換算で50点を中心にプラスマイナス10点ぐらいの点数を付けると文句は言われない」と教えてくれました。案の定「裏の基準」があったのです。

 何年か後に異動した時は、部下も大分増えていました。年度末恒例の「人事考課シート」が届いたので、早速記入を始めると上司から「お前の部下Aの点数は50点以下にしろ、Bも高い点をつけるな」同僚からは「入社間もない若い子は点数に下駄をはかせやったほうがよい」との電話がありました。部下の業務を一番間近に見ている小生の評価は、これらの「指導」や「助言」を受け入れることによって歪められてしまいました。

 さて、作成された「考課シート」は上司がチェックし、最終的には「組織のトップ」に送られ、それらを参考に「昇進」「昇格」「人事異動」が決められますが、その多くは「裏の基準」や「上司の指導」「上司への忖度」のために「公正な記入」が行われていないことを「トップ」は知っていたのでしょうか?

 全く知らないとしたら「裸の王様」です。しかし、全てを知った上でこの「茶番」を黙認しているとしたら?

 ・・・それはそれで背筋が寒くなるような不気味なことではないでしょうか・・・。