4.人事考課

 「人事考課」とは「管理職が部下の業務に対する貢献度,職務遂行度を一定の方式に従って評価すること。職員の勤務成績を評価査定すること」の意味で、大体年度末に実施されます。

 小生が体験した「人事考課」には「土台がエクセルの専用シート」が用いられ、評価項目は「礼儀」「責任感」「適応力」など20程度。それらの各々が「具体的事例」(仕事中は常に笑顔で同僚には親切だった等)に細分されています。

 「具体的事例」の「点数欄」に「5段階評価」(10段階の場合もあります)の点数を入力し、最後まで埋めると「総合計点」と「100点換算の点数」が当該欄に表示されます。

 初めて「所長」になり「人事考課」を実施した時、部下の数は僅かで、何の先入観も持たず自分の思うままに点数を付け、短期間で記入が終わった「シート」を上司に送ると「やり直し」という付箋がつけられて戻ってきました。

 「点数に基準があるんじゃないかな?」と思い、別の課の「管理職」に聞いてみると「100点換算で50点を中心にプラスマイナス10点ぐらいの点数を付けると文句は言われない」と教えてくれました。案の定「裏の基準」があったのです。

 何年か後に異動した時は、部下も大分増えていました。年度末恒例の「人事考課シート」が届いたので、早速記入を始めると上司から「お前の部下Aの点数は50点以下にしろ、Bも高い点をつけるな」同僚からは「入社間もない若い子は点数に下駄をはかせやったほうがよい」との電話がありました。部下の業務を一番間近に見ている小生の評価は、これらの「指導」や「助言」を受け入れることによって歪められてしまいました。

 さて、作成された「考課シート」は上司がチェックし、最終的には「組織のトップ」に送られ、それらを参考に「昇進」「昇格」「人事異動」が決められますが、その多くは「裏の基準」や「上司の指導」「上司への忖度」のために「公正な記入」が行われていないことを「トップ」は知っていたのでしょうか?

 全く知らないとしたら「裸の王様」です。しかし、全てを知った上でこの「茶番」を黙認しているとしたら?

 ・・・それはそれで背筋が寒くなるような不気味なことではないでしょうか・・・。