御挨拶

 東山道の湖辺から南海道の僻村に移って早くも六年が過ぎました。 当地は人心も気候も温順で、仕事にもゆとりができましたので、自身の未整理調査資料の見直しを進めております。
  上記資料の内訳は報告や論文で使うためにためていた「写真や実測図」、意気込んで書き始めたものの中絶してしまった「未発表原稿」、著者の力不足による不備の多い「概要報告」、構想だけで実現しなかった「幻の報告」などです。多くが紙データであるため痛みも相当進んでおり、ほっておけば数年でこの世から消えてなくなるでしょう。
 これらを順次デジタル化し、皆様のお役に立てていただけるものは世に出してゆきたいという願いがホームページを開く動機となり、平成26年9月9日(火)を持ってWeb上に「喉郷雑記(こうごうざっき)」を開設いたしました。

 皆様方には各項目をご覧いただき、ご意見を賜れば幸いに存じます。

 最後に喉郷の由来を記しておきます。 伊予国の形は東を向いて疾走する猪に例えられ、私が居ります今治旧市街は丁度その喉元にあたります。当地は古代から現在に至るまで水陸の要衝で、かつては国府もあり、まさに伊予国の急所といえる場所ですので、「喉郷」と勝手に命名しました。
 か細い声ではありますが、ここから世間に発信してゆきたいと思います。

 御挨拶(その2)

 十箇月振りに彼の地を訪れました。春には工事中だった桟橋のバスターミナルは完成し、路線バスや長距離バスで賑わっています。しかし、街の佇まいはほとんど変わっておらず、なつかしさがこみ上げてきました。

 残念ながら、この街の記憶は徐々に消えてゆくでしょう。しかし、自身の閉鎖的な性格を彼の地の優れた気候・風土が変えてくれたことが、ホームページ開設につながったことは紛れもない事実です。

 人生後半の大きな転機となった「喉郷」での暮らしに基づくタイトルは変更せずに今後も続けていきたいと思います。

                                      平成28年11月21日

                                          稲垣正宏