2016年5月

 日々の出来事や写真、過去の小文、その他諸々を取り上げます。
 表題はホームページのタイトル候補だったのですが、咽(喉の上の方)、喉(喉の下、首のあたり)ということで落選しました。しかし因業に音が同じなので、わがままでかたくなな性格の自身にふさわしいと思い表題に復活させました。

ギザミ釣り(その3)

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 夏になり海水温が上がると、ギザミの活性も上昇、クイも立ってきて、時折50尾を超える大釣りもするようになりました。

 竿は細身の寒バエ用なので、15㎝級でも中々水面まで上がってきませんし、25㎝以上の「磯ギザミ」がかかると満月のようにしなり、ギュンギュン糸鳴りがしてすごい迫力です。

 こんなに面白い釣りなのにギザミを専門に狙う釣師は防波堤では小生だけ。大釣りしたポイントでも、翌週には魚が集まって来ていて、竿を出すと大漁ということも多々ありました。

 とはいっても、やはり日によっては、魚信が遠く14~5尾で納竿することもあります。その日もクイが渋くギザミが中々針に乗らず、いつもはきれいになめとってゆく餌も少しかじって半分以上残していくような有様でした。

 気分を変えようと早めにお昼のパンを食べて、新しい餌をつけて仕掛けを投じました。ゆらゆら沈んでゆく目印を見ていると手のひらにほんのわずかな違和感があったので、思い切ってカラ合わせしてみるとがっちりと魚が乗った手ごたえがあり、釣り上げると見事に「上口浅め」に針がかりしています。

 この時は全身の力が抜けてしまうくらいの脱力感と落涙しそうなほどの感動を同時に覚え、「これこそ脈釣りの醍醐味だ」と叫びたくなりました。

 小学生から釣りを始め、いろいろな釣りにチャレンジしましたが、ギザミ釣りを超えるほどの釣趣がある釣りはありません。この釣りを体験しただけでも今治に来た価値は十分あったと思います。(終わり)

ギザミ釣り(その2)

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 次の釣行では「寒ハエ」釣りに使う針「袖の2号」を使ってみましたが、全体の形が丸く、丈が短いため飲み込まれるか、喰い切られるかで、一針一尾以下という惨状。かといって「キツネの1号」に戻すと相変わらずの低率です。

 ところが、ある日釣具屋で「サヨリの3号」という針を偶然見つけました。これは、ギザミ同様口の小さなサヨリ用で「袖の2号」より丈が長く細長い形をしています。硬度は「キツネの一号」よりも低く、曲がりやすいのですが、使ってみると、意外なことにその特徴がギザミの喰いつきをよくするようで、一挙に確率があがり、餌を取り放題だった「15㎝以下級」もうまくあわせると針に乗ってくるようになりました。

 しかし、これで毎回大釣りかというとそういうわけにはいきません。油断して「あわせのタイミング」がほんの少しでも遅れると見事に餌をなめとってゆきますし、潮流や時刻、気温、日照、タナによって刻々と変わり、その日の「タイミング」が次回で通じることはまずありません。まったくもって、厄介な魚ですが、それゆえに釣趣は格別で、毎回ファイトを掻き立てられる相手でもあります。(その3に続く)

ギザミ釣り(その1)

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 「ベラ」のことを今治では「ギザミ」といます。今治港で釣れるのは「青、赤」の2種と石畳文様の「磯ギザミ」です。これらの口吻は小さいうえに上下の歯が突き出していることから、エサ取りが天才的にうまくチヌ釣りなどでは外道の代表として知られています。

 今治に移住して初めて港の防波堤に釣行した時、釣れる魚種も仕掛けも分からなかったので、とりあえずキス狙いの投げ釣り仕掛けを遠くまで飛ばして引き釣りの開始しました。ところが、魚信もないままに餌をとられてしまい、たまに釣れても「キザミ」か「磯ギザミ」ばかりです。「それなら、これでどうだ」と針を「キツネ1号」に替えると少しは針に乗る回数が増えました。

 そのうち投げそこなって近くに落ちた仕掛けにも「ギザミ」がかかったので、天秤をガン玉に替えて堤防の近くを探ぐると魚信があります。さらに足元でも魚信があるので、次の釣行では「6.4mの渓流竿」と浮釣り仕掛けを持参しました。

 6.4mというと随分長い「渓流竿」と思われるでしょうが、関西では「寒ハエ釣り」といって冬場に川に立ちこんで「ハエ(オイカワ)」を釣ることが盛んに行われていて、その専用竿です。

 防波堤は高く、電線もないので、丁度いい具合に竿を振れるのですが、クイがたってくると仕掛けを投入して「浮」が立つ前に餌をとられてしまいます。「これはだめだ」と思いカミツブシを大きくして「浮」を目印に替え脈釣りを始めました。

 しかし、相手は名うてのエサ取りです「キツネの1号」をもってしても4~5回に1回しか針に乗りません。仕掛けの細かい調整を行うのですが、捕獲率が一向にあがらず、ストレスが溜まるばかりです。(その2に続く)