ギザミ釣り(その1)

 「ベラ」のことを今治では「ギザミ」といます。今治港で釣れるのは「青、赤」の2種と石畳文様の「磯ギザミ」です。これらの口吻は小さいうえに上下の歯が突き出していることから、エサ取りが天才的にうまくチヌ釣りなどでは外道の代表として知られています。

 今治に移住して初めて港の防波堤に釣行した時、釣れる魚種も仕掛けも分からなかったので、とりあえずキス狙いの投げ釣り仕掛けを遠くまで飛ばして引き釣りの開始しました。ところが、魚信もないままに餌をとられてしまい、たまに釣れても「キザミ」か「磯ギザミ」ばかりです。「それなら、これでどうだ」と針を「キツネ1号」に替えると少しは針に乗る回数が増えました。

 そのうち投げそこなって近くに落ちた仕掛けにも「ギザミ」がかかったので、天秤をガン玉に替えて堤防の近くを探ぐると魚信があります。さらに足元でも魚信があるので、次の釣行では「6.4mの渓流竿」と浮釣り仕掛けを持参しました。

 6.4mというと随分長い「渓流竿」と思われるでしょうが、関西では「寒ハエ釣り」といって冬場に川に立ちこんで「ハエ(オイカワ)」を釣ることが盛んに行われていて、その専用竿です。

 防波堤は高く、電線もないので、丁度いい具合に竿を振れるのですが、クイがたってくると仕掛けを投入して「浮」が立つ前に餌をとられてしまいます。「これはだめだ」と思いカミツブシを大きくして「浮」を目印に替え脈釣りを始めました。

 しかし、相手は名うてのエサ取りです「キツネの1号」をもってしても4~5回に1回しか針に乗りません。仕掛けの細かい調整を行うのですが、捕獲率が一向にあがらず、ストレスが溜まるばかりです。(その2に続く)