阪神タイガースの歌(その2)

 さて、阪神タイガースの歌に関する資料には、

 阪神タイガースの歌は元々昭和10年に発足した「大阪タイガース」の球団歌として作られ、セ・パ両リーグの球団歌としては最も古い。

 歌詞の1番から3番まで共通するサビの部分「オウ オウ オウ オウ 阪神タイガース フレ フレ フレ」の「オウ オウ オウ オウ」は、本来、直後に続く「大阪タイガース」の「大(オオ)」の音の押韻であったが、歌詞が変更されたためにただの感嘆詞なった。

 阪神球団の処置について、作曲者の古関裕而氏は生前「あの歌詞(大阪タイガースの歌)に合わせて作曲したのに一方的に歌詞が変更された」と不快感を抱いていたそうである。

とあります。

 しかしながら、現在の球団名(阪神タイガース)の「阪(ハン)」で韻を踏むと「ハン ハン ハン ハン 阪神タイガース」となり迫力不足の感があります。「オウ オウ オウ オウ」は、時代劇でやくざが町人を威嚇する場面などでよく使われているし、対戦相手にぶつける言葉としては適当なのかもしれません。

 ところで、この歌の歌詞は、戦前に作られた両リーグ最古の球団歌というだけあって難しい「熟語」や「四字熟語」を含む「擬古文」で綴られています。しかし、歌詞を子細に見ると驚くべきことに球団歌でありながら「野球用語」がほとんど含まれていません。

 数少ない野球用語と思われる「鉄碗」は「鉄腕稲尾」の例のごとく「剛球投手」の意味でも使われますが、本来の意味は「鉄腕アトム」にあるような「疲れ知らずの腕」のことですし、「強打」も「バントはせずに強打した」のように使われる言葉なので、一見野球専門の用語かと思われますが、本来の意味は「顔面を強打した」など「事故などで体の一部を強く打った場合」のことを指すので、純粋な野球用語ではありません。

 「甲子園(球場)」はどうかというと、これも地名として用いられることがあり、やはり純粋な野球用語?とは言いにくいのが実情です。

 最後に今年のタイガースは往年の「仔猫パターン」に陥っていて、矛盾や問題の多い「球団歌」が熱唱される機会が減少しています。(終わり)