来し方を振り返ってみると、20代においては度々採用試験を受けるも落選が続き、バイト暮らしを抜けられなかったせいで、結婚を考える余裕など全くありませんでした。
29歳でようやく正式採用され、固定給を貰うようになると、結婚は二の次で仕事・趣味(釣り、テニス、スキーなど)などに没頭していましたが「上司」や「職場の女性パート職員」から「見合い」の話をぼつぼつ持ち掛けられるようになります。
そして30代も終わり頃、友人の熱心な説得に根負けして「見合い会社」に登録すると「パーティー」や「紹介」が次々押し寄せてきて、出会いの回数は一年で30回を軽く超えてゆきました。
ところで小生の体験した「見合い」では、初顔合が済むとデートに移り、それが終了すると当事者は「今後も交際を続けるか?否か?」を「紹介者」や「見合い会社」に報告する必要があります。
その「優先決定権」は女性側にあり、男性がいくら相手を気に入っていても女性が「今後の交際はなし」と決断するとそれを覆すことはできません。
小生の場合、経験した見合いのほとんどが上記のことで「一期一会」に終わり、相手のこともすぐに忘れてしまいましたが、中には人間的魅力にあふれ、男女の関係を離れてもう一度会いたいという人もいましたので、以下で紹介します。
その1 ヘビースモーカー
彼女は1時間のデートタイム中にハイライト一箱吸ってしまう大変なヘビースモーカーでした。
以前述べたように小生は小児喘息で、大人になってからも気管支が弱く、デート中は煙に咽て苦しかったので、
「たばこはやめられませんか?」
と聞いたところ
「絶対無理です」
との明確な答え・・。
その返答を聞いて顔をしかめたのが原因なのでしょうか、数日後会社を通じて断りの電話が入りました。
「なぜタバコがやめられないのか?」「ハイライトが好きな理由」など聞きたいことがあったので、顔をしかめたことを今でも後悔しています。
その2 「はい」と「いいえ」しか言わない人
世間話をしても、顔を伏せるだけで言葉はなく「肯定」「否定」を求める質問だけに「はい」「いいえ」で答えます。
最初は「どないもなりまへん」と思っていたのですが、しかたなく質問を続けるうちに発声としては「はい」「いいえ」だけなのですが、同時に行われるリアクションは頷いたり、首を傾げたり、顔を上げたり、手を組んだり、拍手したりかなり多様であることに気づきました。
それからは「この質問にはどんな反応を見せるか」を予想しながら質問するようになり、相手も質問に慣れて、予想通りの反応をしてくれることもあり、楽しい時間を過ごすことが出来たのに「一回きり」で終了。
その3 食べるのが早い人
その時のデートでは大奮発して、高級フランス料理店でコース料理を頼んだのですが、相手は料理が出ると無言であっという間に食べてしまい、次の料理が出るまでじっと待っています。
そのうち間が持てなくなり
「会話しながら食事しませんか」
と提案すると、
「食事の時は集中しないと味が分からない、話は食べ終わってから」
という返事・・。
次の料理を待っている間は食べ終わった料理の味や盛り付けについて思い出しながら分析しているらしく無言で目まで閉じています。
結局「出てきた料理を無言で食べて次をじっと待つ」の繰り返しで、デザートにたどり着いてしまいましたが、帰り道では分析結果がまとまったようで、料理の味や盛付についてかなり詳しく感想を聞かせてくれました。
その折り「しゃべりながら食事していて舌を噛みそれがトラウマになった」ようなことを少し仄めかしていたので、料理の分析と合わせてその辺についても、詳しく聞きたかったのですが、残念ながら・・。
見合い会社の登録期間も過ぎて、女性とのかかわりも少なくなって、寂しい独身生活を40代後半のまで続けましたが、この3人については「見合い以外の機会で会っていれば、長い付き合いもできたかもしれないのに・・」と今でも残念な気持ちを持ち続けています