当日は、まず、受付横の机に出土品を並べ、開始2・3時間前からやって来る考古学ファン達の受付をして、パンフレットを配り、出土品の説明をしたりしているうちに、開始時間が近付いてきて、マスコミの皆さんも姿を現しはじめます。
新聞記者は各社大抵1人しか来ませんが、他社同士でも仲が良いらしく、1・2台の車に相乗りしてやって来ます。現場に着くと家庭用ビデオに声を吹き込みながら撮影を始めました。
民放も記者がカメラマンも兼務していることが多く、やはり1人でやって来ます。ビデオカメラを回しながら来場者にインタビューしている器用な人もいます。ある在阪テレビ局は、地元の老舗写真館の息子さんに取材・撮影を頼んでおり、彼もいっぱしの記者気分でカメラを回したり、出土品を見てメモをとったりしています。
その内、黒塗りタクシー(中型)が静々とやってきました。「NHK様」の登場です。タクシーで来るのは「NHK様」だけで、他社とは違い必ず記者とカメラマンの2名が来ます。プロデュ-サーが加わり3名で来る時もあります。
昨年、松山で「福祉の集まり」があった時、新聞・民放の取材陣は、各社1人づつでしたが、「NHK様」は3人来ていました。受信料の蓄えがふんだんにあるので取材には湯水のように金を使うのでしょう。
「遺跡の説明」は、その遺跡の「埋蔵文化財担当者」(※以下「担当者」と略)が行います。「担当者」とは発掘現場に赴き発掘の指揮・監督をする人のことですが、実は「担当者」それぞれが得意とする時代は違っています。
私は現役時代「中・近世遺跡」の調査にあたることが多く、それらの発掘は得意で、知識もありましたが、「古墳」の発掘調査経験は調査員生活30年でわずか1回、それも1箇月間だけ。「縄文遺跡」も1回、「旧石器遺跡」の発掘調査経験はゼロでした。
ところが「現説」にやって来る考古学ファン達は、あちこちの「現説」や講演会にこまめに出かけ、ファン同士で「現説パンフ」の交換をしている人も多く、「担当者」よりも沢山の情報を持っている人が少なくありません。「担当者」よりも遺跡に詳しい人もいて、「担当者」が考古学ファンに助言を求めたり、御教示を受けることもよくあります。
話題の遺跡で来場者も多い場合は、何回も「説明」が行われます。しかし、普通は2回くらいです。2回目の説明が終わり、考古学ファン達が帰り始める頃、いよいよ各社の取材が始まります。(その3)に続く