私の学生時代や「滋賀県の外郭団体」に在籍していた頃、「現地説明会」※通称「現説」 の意味は「発掘された遺跡を一般市民に広く公開すること」でした。
しかし、「文化財調査会社」に転職すると「自治体などが入札前に業務施工場所を指名業者に公開し、業務内容や仕様書の説明をしたり、質問に答えたりすること」を「現地説明会」※通称も同じ「現説」 と呼び、この言葉には二つの意味があることが分かりました。今回、お話するのは前者の事です。
遺跡の発掘調査が終わりに近づくと、「現地説明会」の日程を決め、当日配布する「パンフレット」を作り、まず団体の決裁をとり、次に県教育委員会にも決裁を回し、「遺跡について分かりやすく説明されているか」「文言に問題がないか」などについて十二分に検討してもらいます。
OKになって返ってくるとマスコミ各社の分だけプリントし、「遺跡の目玉写真」も付け加え「県庁の記者クラブ」に持って行いきます。これを「資料提供」と言います。同じ遺跡記事の写真が各誌どれも同じなのは上記の理由からです。
新聞1面に乗るような著名な遺跡なら「資料提供」と同時に取材陣が現場に押しかけてきますが、地味な遺跡の場合、取材に来ることはほとんどありません。
「現説当日」の準備は、面積の広い遺跡なら1週間くらい前から、小さな遺跡では前々日ぐらいから取りかかります。テントを張り、中に机・椅子を置き受付とし、遺跡を安全に見学できるように通路を作り、井戸などの深い遺構に人が落ちないようにロープを張ります。前日午後に遺構面を入念に掃除すると準備は完了です。(その2)に続く