第1部の終了後、短い休憩を挟んで第2部「壬生狂言」の幕が開きました。
壬生寺の「定期公演」では「鰐口」「笛」「太鼓」で構成される「囃し方」は舞台となる大念佛堂の奥に控えていますが、今回は舞台の上手に並んでいます。やがて聞き覚えのある単調な演奏とともに劇が始まりました。
最初は源頼光と家来が酒宴をする場面で、酒宴が終わり家来が袖に下がると入れ違いに「土蜘蛛」が舞台に現れ、頼光に襲い掛かります。
頼光が攻撃をかわし一太刀浴びせると、傷を負った「土蜘蛛」は逃げ去り、再び舞台に現れた家来達に頼光が「土蜘蛛」退治を命じるところまでは「能の土蜘蛛」の展開と同じようです。
「能」ではその後「引幕」となり「舞台の設え」が替わるまで「間(アイ)」が幕前で「間(アイ)語」りを行って時間をつぶし「設え」が替わり、幕が開くと「土蜘蛛」は古墳の横穴式石室のようなところにクモの巣を張って潜んでいます。
「壬生狂言」では命令を受けて「土蜘蛛」の本拠地にやってきた家来たちが、暗闇の中、松明をもって居場所を探す歌舞伎の「暗闘(だんまり)」のような場面が長く続き、ついに姿を見つけて打ちかかると「土蜘蛛」は糸を何度も投げて抵抗します。
糸が投げるたびに客席は大いに沸き「能」にない「家来が土蜘蛛の首をあげる」演出には拍手喝采がおくられました。
演目が終わり演者が橋かかりを通って退場するまで咳き一つ聞こえない武家の式楽「能」と庶民の芸能「壬生狂言」では客席の反応には違いがあるようです。
終演後、主催者による閉会の挨拶がありましたが、講演をしたドクター2名も最後まで鑑賞していたようで、主催者と並んで御辞儀をしていました。