漢方薬の効き方(その2)

 絶望感が消えず、やる気もおこらないまま、だらだら過ごす内に昼時になり、食後しばらくすると食間の投薬時間が迫ってきました。

 憂鬱な気持ちで土瓶に手を伸ばした時「一度病院に苦しみを低減させる方法を聞いてみよう」という考えが浮かんだので、病院に電話し院内の薬局に繋いでもらいました。

 早速、薬剤師に「煎じ薬を飲むのがいかに辛いか」を訴えると、

「それなら冷蔵庫で十分冷やしてから飲めば、刺激的な味は軽減されます」

「2日分までは、まとめて作っても構わないので、それを冷蔵庫で保管すれば作る手間も半減します」

 と午前中にはなかった「御教示」があったので、1回分土瓶に残っていた煎じ薬をコップに移し、急冷すべく冷凍室に1時間ほど入れてから口に含んでみると、臭いはかなり弱くなり、舌に対する攻撃力も減って、少しの我慢で飲むことに成功。

 その夜には、翌日と翌々日の2日分を作り、麦茶用のガラスボトルに入れて冷蔵室で保管し、翌日の出社時には水筒に入れて携行し、食間に飲みました。

 ある時、東京で研究会があり、休憩時間に廊下で薬を飲んでいると臭いは低減されたとはいえ周りに漂ったらしく「稲垣氏が怪しい液体を飲んでいる」という「悪い噂がたったこと」を後で参加者から聞き、苦笑することに。

 ところで、薬の効能はいつ頃出てきたと思います?

 飲み始めて1年目の春「涙がぽたぽた」の症状は一向に改善されません。2年目も効能がないまま「今春看又過ぐ」という気持ちで空しく春をおくりました。

 同時期に受診し始めた「患者仲間」も何人かいたのですが、中々効能が現れないことに悲観したらしくその姿は2年を待たずして待合室から消滅。

 小生は学業、スポーツ両方とも成績はもう一つでしたが、「根気強さ」には絶対的な自信があったので、ただ一人治療を続け3年目の春、ついに変化が訪れました。

 その年、目は充血してかゆくなりましたが涙の量は明らかに減少し、パソコンのキーボードに涙が落ちることがなくなり、4年目、症状は「充血」と「わずかなかゆみ」だけになり涙はピタッと停まりました。担当医の言った通り4年目にして症状は大きく改善されたのです。

 「漢方薬治療をやってみよう」と思っている皆さん!!

 個人差はあるでしょうが、大事なことは「根気」です。それさえあれば必ずゴールにたどり着けるでしょう。(この項終わり)