パンは主役じゃない

 以下の文章は、今から丁度10年前、某サイトに投稿したものですが、昨今の高級食パンのブームに一石を投じたいという気持ちおこってきたので手直しの上、再録いたします。

 小生の生まれ育った実家の近くに昭和30年代からやっている「ハイマート」という小さなパン屋がありました。

 元和菓子職人だったという大将は、食パン以外に菓子パン(3色パン※アンパン・ジャムパン・クリームパンが合体したパン、富士山パン)やお菓子(クッキー、カップケーキ)なども器用に作るのですが、店の看板である食パンは、切りたてが美味しいからと、注文を受けると客に好みの厚さを聞き、スライサーで切って販売します。

 大将は無口でしたが、たまに

「生イーストがなくドライイーストも貴重だったころ菌が死なないようリンゴジュースに溶かし一升瓶に詰めて夜は抱いて寝て、町内会の旅行の時も瓶を背負って行った」

「塩やバターのたくさん入った食パンは、美味しく口当たりもいいが、匂いが鼻について3日で飽きる。お客さんにずっと飽きずに食べ続けてもらうには塩とバターをぎりぎりまで控えた方がよい」

「食卓では、おかずが主役でパンは脇役です」

など、体験や矜持を話してくれました。

 バターや塩分の多い高級食パンはおいしいので、ついついたくさん食べてしまい、おかずの少ない食事になりがちです。

 その上、おやつとしても食べたりもするので、一日の栄養に偏りが出て、生活習慣病にもよくないと思うのですが、いかがでしょうか?