漫画「釣りキチ三平」の中で、「魚紳さん」か「毛針山人」から「釣りの魅力」について聞かれた三平が「釣りの魅力はたくさん釣ることだ」と答える場面があったと思います。
これは、まことにもっともな答えでありまして、私も釣りを始めて以来、ずっと「たくさん釣ること」に情熱を傾けてきました。
しかし、今治港は神戸港に比べて桁違いに魚影が濃く、ある日、早朝から竿を出して、昼下がりに釣果を数えると、80尾を越えていたことがあります。
釣れた魚は全て下ろして料理することをモットーにしている私は、調理時間を考え、泣く泣く納竿して帰宅。魚を下ろしにかかりました。
さて、南蛮漬けに向くのは骨が柔らかい小魚ですが、これらの鱗を落とし、ワタを抜くためには上からしっかり俎に押さえつけなければなりません。この日は特に小魚が多かったので、下ろし始めて30尾を過ぎる頃から握力が低下して、押さえがききません。
俎の上で滑りまくる小魚相手に悪戦苦闘し、下ろし終わったのは、夕方6時。夕食・釣具の片付け・入浴を挟んで、9時から調理を再開しましたが、魚の量が多いので5回に分けて油で揚げ、大量の玉葱を切り、これらを三倍酢とともにタッパーに仕込み、冷蔵庫に入れ、調理具を片付け終わって、時計を見ると午前2時を過ぎていました。
これに懲りてその後は、釣果が25尾を越えると納竿することにしました。このぐらいだと魚を下ろして料理しても2時間以内で済み、疲れることもありません。
そして、魚との邂逅が減った分「魚信取り」から「取込み」に至る「一連の釣り上げ動作を洗練させ、一期一会を楽しむ」という新たな目標に設定し、努力を重ねています。